PROJECT
STORY
STÁLOGY®SHOP 立ち上げ篇
2015年12月、東京・代官山に「STÁLOGY LABORATORY TOKYO」がオープンした。店内に置かれた白いポストがひときわ目を引くこの店は、ニトムズの文房具ブランド「STÁLOGY®」のアンテナショップである。このニトムズ初の直営店舗立ち上げを託されたのは、営業・総務・経理・情報システムなど幅広い部門から集まった14人のメンバー。オープンまで2カ月というタイトスケジュールのなか、どのようにしてオープンにこぎつけたのか。メンバーたちの奮闘を追った。

※当店舗は2019年9月10日を以て閉店致しました。

メンバー紹介

SECTION 01営業 飯田の挑戦

やる気だけじゃ、
どうにもならない。

ニトムズが店を出す――。このアイデアは、STÁLOGY®の新しい売り方を模索するなかで浮上した。ニトムズの商品は、主にホームセンターやGMSなどの量販店で売られている。直営店舗はない。営業担当の飯田剛は、メーカーもお客さまの声を直接聞ける場を持つべきだと常々考えていた。
商業施設に期間限定のポップアップショップを出してみたこともある。「へぇ、こんなお客さまが買ってくださってるんだ」「こんな用途は思いつかなかったなぁ」生活者の目線に触れると、新しい発見がたくさんあった。経営陣への報告会で、「今後は店舗を計画していきたいです」と発表した。
その飯田に、アンテナショップ立ち上げのリーダーとして白羽の矢が立った。店なんて作ったことはないし、もっと適任者がいるんじゃないかと思ったが、挑戦したい気持ちが勝った。
「やります、やらせてください!」
頭で考えるより先に、言葉が出ていた。

ただ単に商品を販売するだけの場所にはしたくない。商品に触れて、体験して、商品の良さを理解してもらいたい。もっと言えば、サービスを通して人と人とが出会える場所にできるといい。そのような思いから、コンセプトを作成するパートナー会社と何度も話し合いを重ね、「ヒトとヒト、ヒトとモノをくっつける」を店のコンセプトに決めた。
内装にもこだわりたかった。ブランドがまとうスタンダードなイメージに合うように、凝った造りよりも、床は古材を使い、シンプルでノスタルジックな内装にしよう。奥には昔の郵便局を思わせる棚を設置して、お客さまには1年後の自分に届く「未来レター」を書いていただこう。
これを、人と人をつなぐサービスの目玉にしたい――。

実のところ、このようにすんなりと物事が決定し、進んでいったわけではなかった。店づくりの経験がない飯田は、何から手をつけていいか、さっぱり分からない。届け出は必要なのか、保険は、内装業者は、どうすればいい? オープンまでは2カ月しかない。それまでに内装を施し、売り場をつくり、サービス内容や運営方法を決め、通信やセキュリティなどのインフラを整備し、ショップ店員を確保しなければならない。唯一、幸いだったのは、代官山に物件が決まっていたことだ。それでも内装工事に1カ月かかるとすると、最初の1カ月である程度のことを決めなければならない。
リーダーとしての気負いから、すべて自分がやらなきゃ、と思い込んでいた。右も左も分からず、不安と焦りだけが募っていく。
もう限界を超えていた。
「助けてくれませんか」
飯田は、メンバーのベテラン社員2人にサポートを求めた。

※所属部署は取材当時のものです。

飯田の想い

困ると誰かが助けてくれるのがニトムズ。

リーダーだからと全部自分でやろうとしても、一人では何もできないことを痛感しましたね。助けを求めたり、求められたりして、協力しながらやっていくことが大事なんだと学びました。